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土地購入前に知っておきたい「セットバック」について

記事監修者

  税理士法人VERTEX
 代表税理士 渡辺秀俊

 【保有資格】税理士、行政書士、宅地建物取引士

 【専門分野】資産税(相続、事業承継、資産管理)



事業主・地主・不動産オーナーの事業承継対策・相続対策・提案を中心に資産税の専門税理士として従事。
過去の経験により、「節税よりも家族仲良く」をモットーにお金のかからない基本的な対策から物納による納税対策まで幅広い提案と元専門学校講師の経験を生かしたセミナーや個別相談の活動を精力的に行っている。
著書に「不動産オーナー・税理士のための〔不動産×会社活用〕相続対策の方程式(共著 清文社)」「これならできる物納による相続税の納税対策(清文社 共著)」など。

URL https://www.vtx.jp/


土地を購入する前に知っておくべきセットバックについて

家を建てるための土地選びはとても重要です。しかし、売りに出されている土地がそのまま利用できるとは限りません。建物建築の際に、「セットバック」により利用面積が狭くなることがあります。契約した後に悔やむことがないよう、「セットバック」に関する知識を身に付けましょう。
ここでは、土地を購入する前に知っておきたい、セットバックの基礎知識を解説。メリットやデメリット、建築基準法の「42条2項道路」などについてもまとめています。

セットバックとは?

建築基準法上、建物を建てる敷地は幅4m以上の道路に2m以上接していなければいけない決まりがあります。幅が4mの道路というと、車が2台ギリギリすれ違えるほどです。
この建築基準法の制限は、地震や火災などの災害が生じた場合、救急車や消防車が通れる幅、避難経路を確保し、迅速な救急活動が行えることを目的としています。

ただし、建築基準法が施行された1950年以前は、生活道路において1間半(約2.7m)または2間(約3.6m)の幅で整備されることが多かったのです。
そこで、幅が4mに満たない道路の中でも特定行政庁が指定した道路においては、その土地に再度建物を建築する場合に、道路の中心線から2m敷地を後退させることを条件に建築を許可することとしました。
将来的に幅員を4m確保することを前提に、幅4m未満でも道路とみなすことにしたのです。この敷地の後退を「セットバック」と言います。

どのくらいセットバックするの?

セットバックは敷地前の道路向かい側に敷地があるかどうかで後退させる幅員が異なりますが、道路の中心線から2m後退させるのが基本とされています。

例えば、敷地の前の道路が3mだったとすると、幅を4mにするには残り1mのセットバックが必要です。向かい側に敷地があれば、両サイドで1mの半分(50cm)をセットバックすることになります。

ただし、敷地の向かい側が河川や線路、崖地だった場合、一方の敷地でセットバックしなければいけません。この場合、こちらの敷地を1mセットバックする必要があります。
また、幅4m以上が基本とされていますが、地域によっては幅員が6m以上の場合もあります。建築予定地前の道路が規制をクリアしているかどうかは役所で確認できますので、事前に確認するようにしましょう。

セットバックのメリット・デメリット


メリット

セットバックには、以下のようなメリットが挙げられます。

売値が安い場合が多い
セットバックが必要な物件は他の物件より家の規模や敷地面積などによる制約が多くなります。
また、セットバックが必要だということは、道幅が狭く使い勝手が悪いため人気も高くありません。そのため、比較的安い価格で売りに出されるケースが多いのが特徴です。

公道のセットバックは固定資産税が非課税になる
所有する土地には、固定資産税や都市計画税などがかかってきます。固定資産税は、地方税に分類される税金のこと。セットバックを行った場合、対象の面積部分は固定資産税が非課税となります。
ただし、自動的に非課税となるのではなく、役所で地目変更の申請を行わなければいけません。地目変更を行わなければ、固定資産税を払い続ける必要があります。
申請して固定資産税が激減するわけではありませんが、セットバックを行った場合は各地方自体の市役所で必ず非課税申請を行うようにし、余分な税金を払わないようにしましょう。

土地の資産価値が上がる
前面道路の幅員は資産価値に影響を与える一つの要因と考えられています。そのためセットバックによって幅員が確保されることで、土地の資産価値向上が期待されます。

デメリット

セットバックはメリットだけでなくデメリットもあります。

セットバックの工事費用が発生する場合も
セットバックが必要な土地を購入した場合、セットバック部分の距離の測量や道路の舗装といった費用が発生します。工事費用は約25~60万円と言われていますが、土地の状況によって費用がかさむ場合も。
自治体によっては費用を負担してくれる場合もありますが、基本的には土地を購入する側の自己負担になるケースが多いようです。

セットバック部分は有効活用できなくなる
セットバック部分は道路の扱いとなるため、自由に活用できなくなります。建築物を建設することができなくなりますし、家の一部として門や塀などを設置することもできません。

敷地に建てられる家のサイズが変わる
セットバックによる制限により、敷地に建てられる住宅のサイズが小さくなってしまいます。
セットバック部分は、建物を建設する際の建ぺい率や容積率の計算時に敷地面積として算入されません。そのため、セットバックがあるのとないのとで、家の規模が小さくなります。

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42条2項道路とは?

42条2項道路とは、建築基準法により道路とみなされている4m未満の道路のこと。
原則、4mに満たない道路に接する土地の場合は建物の建築を行えませんが、建築基準法が制定される以前の道路の中には幅が狭くなっているものも多くあります。

そのような道路に関しては、救済措置として幅が4m未満で建物が接していても、建築基準法上の道路として認定されているのです。そのような道路を「42条2項道路」または「みなし道路」などと呼ばれています。

セットバックに理解があれば土地を安く購入できるかも

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セットバックが必要な土地の場合、対象部分の敷地においては自由に使用できない上に、敷地面積として除外され家の規模が小さくなります。制約が多いこともあり、理想の家づくりが難しくなってしまうのです。

また、敷地に接する道路の幅は狭く使い勝手が悪いため、人気が下がる傾向にあります。

厳しい条件が揃うセットバック有りの土地ですが、そのぶん比較的安く販売されることが多いのも特徴。セットバックに理解があって安価で土地を購入したい方は、セットバック有りの土地を検討してみるのも良いかもしれません。

セットバックした土地の処理って?

住宅の建設時にセットバックを行い道路として提供したとしても、金銭的な保証を得ることはケースとして少ないのが現状です。

公道の場合、提供しても寄付による無償譲渡、もしくは無償使用承諾、自己管理となるケースの方が多い傾向に。自治体によっては有償譲渡とする場合もあるようですが、売却費用は抑えられているようです。

一方、指導の場合では一部の自治体で整備の助成制度を設けているところも。ただし、そのケースも少数で、基本的に自費負担となり周辺住民と協議したうえで、道路の維持管理を行っていきます。

セットバックのトラブル実例

実際に家を建築する際に起きたセットバックのトラブル実例をご紹介します。

■実例1

2方向の道路に面している土地を購入。ハウスメーカーに建物の建築を依頼することにしました。順調に工事が開始され家が建ち始めたころ、ハウスメーカーから連絡が。
話を聞いたところ、「土地の南側のセットバックが完了していないことが発覚し、拡幅整備に関する協議書の提出が必要。セットバック部分を市に寄付、またはセットバック部分に工作物を設置しない誓約書がいる」とのこと。

土地を購入する際に売主である不動産業者からはセットバックが済んでいると説明を受けていましたし、重要事項説明書や公図でも確認しました。
しかし、ハウスメーカーから連絡を受けたあとに市役所で確認してみると、不動産業者から聞いていた土地の部分はセットバックではなく、道路と敷地の境界線を明確にするためのものだったのです。
セットバックしても計画通り家は建ちますが、家庭菜園をするための庭が予定より小さくなってしまうことに憤りを感じています。

■実例2

新築戸建を検討していて、今回不動産経由で土地を紹介してもらいました。日当たり良好、風通しも良いなど好条件が揃っている土地です。
とても気に入ったので、隣地との境界の目印となる境界標の工事費用はこちらで出すことを条件に、買付証明(ローン不履行時の場合無効条件)を書きました。
売主側も納得してくれたのでローン審査などの手続きも進め、いざ土地の売買契約を交わすという時でした。「土地のセットバックが必要です」と急に言われたのです。

セットバックの面積は10坪必要とのことでしたが、物件情報には一切記載がされていませんでした。工務店の担当さんは親身になって相談に応じてくれましたし、一緒に何度も土地の確認をしてくれました。
そのため計画そのものをなくしたくありませんが、何も知らせなかった不動産屋に関しては腹が立ってしかたありません。このまま振り出しに戻る場合、金銭的に損をしてしまうので、やれるだけのことはやって不動産側に提案するつもりです。

■実例3

西側の道路幅が2mの建売を購入予定です。その土地は南向きで、家の西側に建築会社がフェンスを建てる用のブロックを建てています。
しかし、打ち合わせの時に駐車場の横にフェンスを建てたいと話を出したところ、担当の方が「セットバックがあるから」と言い出しました。その時はじめて購入を検討している土地がセットバックが必要な土地なのだと知ったのです。

セットバック部分は1mだそうで、現在家の壁部分がセットバックが必要なギリギリのラインに建つ設計になっています。もともと45坪しかないのに、使える部分が減ってしまうと、将来的に土地を売る場合の価値が下がってしまわないか心配です。

セットバックの有無をしっかり確認することが大切

家を建てる際、建設基準法によってさまざまな制約があります。そのため、良い土地が見つかっても自由に家を建てられるわけではありません。
特にセットバックに関しては、後々「こんなはずじゃなかった…」とならないよう、しっかり把握しておいた方が良いでしょう。

建築基準法に基づいて幅4m以上の道路に整備されつつありますが、中にはまだ整備が追い付いておらずセットバックが必要な土地があります。そのような土地を売買する際は、不動産業者から重要事項として説明されるのですが、中にはきちんと説明がされておらず、契約後に発覚するケースも少なくないようです。

土地を購入する際は、資料だけの確認だけでなく、実際に現地を見て確認したり、建築基準法上の道路かどうかを調べたりすることが重要だと言えます。公道の幅については、市町村役場や区役所の担当部署の窓口で調べることが可能です。
一部の自治体ではホームページで確認することもできます。建築を依頼するホームメーカーや工務店などに相談してみるのも良いでしょう。土地探しで失敗しないためにも、購入前の下調べは必要不可欠です。


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